概要 研究活動 教育活動 教育方針
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スタッフ

職名 氏名(カナ) 研究者情報
医学部附属病院看護部臨床連携教員 津田 紫緒(ツダ シオ)
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概要

 本分野では、公衆衛生分野を専門として、地域の健康課題解決や地域保健活動への貢献を目指し、教育・研究を行っている。
 学部教育では、地域包括ケアシステムで活躍する看護職の育成を行い、保健師課程の教育では、探求心とリーダーシップを備えた、自治体や国の施策化に貢献できる保健師の育成を目指している。また、大学院教育では、国際的に活躍できる看護研究者や、自治体や国の施策にコミットできるリーダー的役割を果たす実践家の育成に努めている。
 研究は、公衆衛生分野全般を範囲とし、特に循環器疾患とその危険因子について、関連の解明と予防方法の開発に力を入れ、多くのエビデンス創出に貢献している。
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研究活動

 公衆衛生を専門とし、地域の健康課題解決や地域保健活動へ貢献できるエビデンスの創出を目指した研究を行っている。主に循環器疾患と危険因子との関連の解明と予防方法の開発をテーマに、疫学研究、介入研究、保健統計という疫学手法を用いて研究を行っている。

主な研究テーマ

1. 循環器疾患と危険因子との関連の解明(疫学研究、保健統計)
2. 保健指導、健康教育の開発と実証研究
3. 循環器疾患、メンタルヘルス、産業保健、母子保健、がんの予防活動、社会実装研究
4. 公衆衛生活動の開発と評価
5. 地域健康づくりに関する研究
6. 労働者の親介護に関する研究

2023年度の具体的な研究活動内容は、
・次期健康日本21策定評価に向けて、全国コホート研究NIPPON DATA90を用いて循環器疾患危険因子の重積と健康寿命に関する疫学研究を行い、論文投稿を行った。
・子育て中の被扶養者に対する生活習慣病予防健診の受診啓発に関する社会実装研究として、品川区の「20歳からの健康診査」の啓発活動を継続している。主には、ナッジを用いた健診啓発パンフレットを作成し区内の医療福祉機関、児童館、子育て支援活動団体、幼稚園などに配布し、行政や子育て支援団体と協働して子育て女性に対する受診啓発を展開している。前年度は年少人口割合が高い地域に焦点を当て、健診未受診の母親に対して調査を行い、戦略を分析したが、今年度は健診受診体験を持つ母親らにインタビュー調査を行い、受診継続に結び付く戦略を分析した。また、SNSを用いた啓発活動の展開を開始した。その結果子育てイベント参加者を対象にした調査では、健診の認知度について、前年度に比べ若干の上昇が認められている。さらに子育て支援団体と協同で母親らに直接、母子の健康に関する情報提供や健診啓発する機会を創出し、より一層啓発を強化した。また、被扶養者である母親らへの調査、子育て支援団体を介した健診受診啓発、地域での啓発と認知度に関する調査について、日本公衆衛生学会学術集会にて発表した。
・厚生労働省予防健康づくりに関する大規模実証事業に参画し、循環器疾患予防の食行動変容をめざした尿ナトカリ比測定と保健指導、食環境整備に関する介入手法を開発し、2021年度より全国自治体と職域で実証研究を実施し、現在国際誌に投稿中である。
・上記後継事業である厚生労働省の予防・健康づくりに関するエビデンス構築事業(食行動・女性の健康・環境整備)である「食行動の変容に向けた尿検査及び食環境整備に係る実証事業」において、共同研究者として保健指導マニュアル・事例・動画・啓発媒体作成の監修や編集を実施した。
・厚労科研「包括的・多要素の職業的ライフスタイル介入がテレワーカーにおける身体活動、筋骨格系健康、職場環境に及ぼす影響:クラスターランダム化比較試験」に参加しており、本学倫理審査委員会の審査を完了した。
・大学院生の研究活動では、地域コホート研究「神戸トライアル」について現在倫理審査委員会にて審査中である。健康な一般都市住民における6年間のNa/K比推移と特徴について日本疫学会学術集会で  また、2019年~2021年の児童虐待件数の動向とCOVID-19による影響について研究を行い、その成果を日本公衆衛生学会で発表した。発達障がい児への虐待の判断に関連する要因検討の研究成果を、日本疫学会で発表した。保健師の感情労働に関する研究結果について、日本地域看護学会、日本公衆衛生学会での発表を行った。また、「テレワーク労働者の運動機能向上を目指した生活習慣改善プログラムの開発」の研究題目で、東京医科歯科大学、東京工業大学及び野村不動産ライフ&スポーツ株式会社と産学連携研究を開始した。オンライン型健康教育プログラム作成のため、テレワーク労働者にインタビュー調査と分析を行った成果を日本疫学会学術総会、日本衛生学会学術総会において発表した。
・東京都のがん検診データに基づき、「東京都における子宮頸がん検診受診率の地域格差と要因分析」についての研究成果を国際学会IACCSにおいて発表し、国際誌への投稿準備中である。

学部学生は「健診習慣のない子育て世代の被扶養者女性が捉えた「20歳からの健康診査」の受診促進方法」(2023年度 市川さくら)、「月経随伴症状が看護業務にもたらす影響」(2023年度 植村天音)、「子宮頸がんワクチンの接種に対する母親への教育的介入の効果と教育方法の検討」(2023年度 遠藤菜々)、「新型コロナウイルス感染症の5類移行後の大学生における気晴らしの実態」(2023年度 門珠衣)、「乳幼児親子による地域の居場所の継続的利用に向けた子育て支援拠点のスタッフによる工夫」(2023年度 北原多映子)、「テレワーク労働者の身体活動における促進要因の解明:フォーカスグループインタビュー」(2023年度 高野愛紗)、「発達障害の特性をもつ母親への児の発達段階に応じた支援」(2023年度 常川美羽)、「東京都における子宮頸がん検診受診率の地域格差と要因分析」(2023年度 原田伊織)、「大学生の一人暮らしがもたらす生活習慣の変化とストレス面への影響」(2023年度 堀純華)をテーマに研究を行った。

 大学院生は「訪問看護師への認知症高齢者ケアに関するICTを用いた教育効果の検討」(2022-2023年度 田沼寮子)、「発達障害児に対する言葉による行動抑制に関する研究」「福祉行政報告例による2015年~2020年の児童虐待相談件数の動向と地域差」(2022-2023 年度 巽夕起)、「労働者を対象とした運動習慣とロコモティブシンドローム予防のための運動プログラムの検証」(2022-2023 年度 塩満智子)、「慢性疾患を有する成人 高齢者とその家族に対する訪問看護師による ACP の認識と実践内容 方法」(2022-2023 年度 木村光佑)、「女性訪問介護士のメンタルヘルスのセルフケア支援」(2022-2023年度 三村祐美子)、「小学生の子を持つ父親の健康意識と生活習慣の改善に関する介入研究 -LINEを活用した教育プログラムの開発と効果の検証-」(2022-2023年度 丸山佳代)、「1か月未満の児をもつ両親を対象とした育児に関しての自己効力感を高めるための看護支援 -妊娠期からの継続的な支援-」(2022-2023年度 保木みか)、「精神障害者のリカバリー支援」(2022-2023年度 大竹文)、「女子高校生に対するがんリテラシー教育の実施と効果の検証」(2022-2023年度 角田紘子)、「動画教育による若年層のリテラシー能力の向上〜ボディイメージに着目して〜」(2022-2023年度 庄司花円)、「労働者の健康行動の動機づけプロセスに関するミックスメソッドリサーチ」(2022-2023年度 石井佳代子)、「地域在住高齢者の心理社会的健康を促進するためのICTを活用した介入プログラムの実施と評価」(2022-2023年度 大平綾美)、「訪問看護利用者へのヒーリングタッチの効果」(2022-2023年度 山本晴美 ※研究生)というテーマについて研究を行っている。
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教育活動

1)学部教育
 主に地域保健看護学Ⅰ、地域保健看護学Ⅱ、地域保健看護学Ⅲ、地域保健看護学演習、地域保健看護学実習、卒業論文を担当している。
 関連科目と連携をとりながら授業を展開し、学生のより深い習熟をめざして、学内における講義および演習と実習を相互に連動させ、地域保健看護活動の理論・実践・研究の統合を目指して教育をしている。
 2023年度の学部学生の実習は、保健師コース(選択制)の学生を対象とした。
 地域保健として、東京都特別区では足立区(江北保健センター、竹の塚保健センター)、墨田区(本所保健センター)、台東区(台東保健所保健サービス課、浅草保健相談センター)、葛飾区(金町保健センター)、北区(北区保健所・王子健康支援センター、赤羽健康支援センター)の5区(8か所)で行った。 東京都特別区以外の地域保健では、千葉県柏市で実習を行った。
 学校保健として、お茶の水女子大学附属小学校、筑波大学附属小学校、産業保健として、株式会社JALグランドサービス、キヤノン電子株式会社、日本航空株式会社で実習(一部遠隔実習)を実施した。
 

2)大学院教育
 主に公衆衛生学特論Ⅰ、公衆衛生看護学演習Ⅰ、公衆衛生看護学特論Ⅱ、特別研究Ⅰ、特別研究Ⅱを担当している。
 公衆衛生施策立案に必要な海外の理論であるcommunity as partnerの洋書を精読し議論する講義や、日本の公衆衛生施策の動向や公衆衛生活動における実際の学びから、公衆衛生活動の企画・実施・評価に必要な知識と技術を修得できるように教育している。また、公衆衛生分野の研究を遂行するために、大学院生の関心のある専門領域の実践家や研究者を招いて指導を受ける機会を設けて必要な教育を行っている。

3)その他
 保健師教育の卒後の教育研究のフォロー体制の構築として、公衆衛生看護学分野の卒論生、大学院生、本学保健師課程コース出身者を対象とし昨年度作成したメーリングリスト「東京医科歯科大学公衆衛生看護学OGOBネットワーク」では、自治体や産業の保健師募集や説明会、講演会に関する情報の投稿を行った。
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教育方針

1)学部教育
 学部教育では、地域包括ケアシステムで活躍する看護職の育成を目指して、低学年から地域理解の観点をもち、地域のあらゆる対象に適切に関わる力を育む。
 保健師課程の教育では、特別区や市町村の保健所、保健センター、学校保健、産業保健など多様な場での実習を通して、保健師活動の実際や保健師の役割を学ぶことができる。将来、探求心とリーダシップを備え、自治体や国の施策化に貢献できる保健師の育成を目指している。

2)大学院教育
 公衆衛生上の多様な健康課題をタイムリーに解決し発展に寄与できる研究者育成を目指し、研究の基礎となる知識・技術を習得できる研究教育体制を整えている。
 また、大学院時代から第一線の実践家・研究者の研究や活動に触れる機会も積極的に設け、国際的に活躍できる看護研究者や、自治体や国の施策にコミットできるリーダー的役割を果たす実践家の育成に努めている。具体的には、学内外との共同研究、英語論文や書籍精読、英語論文執筆方法の学習機会、研究手法の演習などがある。
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