概要 研究活動
ホームページ http://www.tmd.ac.jp/mri/mph/index.html

概要

本分野の研究は、生体のカルシウム調節系に関わる器官および組織における細胞の分子レベルでの制御機構についての解析を行うことにある。特に、カルシウム調節の分子機構の解明により、骨粗鬆症をはじめとする骨格系疾患の治療ならびに予防法の確立に寄与する知見を得ることに重点をおいている。

概略
 本研究分野の主な難治疾患研究の対象は、カルシウム代謝異常疾患、特に骨粗鬆症ならびに後縦靭帯骨化症等の骨量異常疾患である。これらの疾患の分子生物学的、細胞生物学的な病態生理学的基盤の解明を目指しており、研究項目は、以下の点である。(1)細胞分化の制御に関わる転写因子の解析。(2)成長因子ならびにサイトカインによる細胞機能制御機構の研究。(3)ホルモンによる遺伝子発現制御機構の研究。(4)遺伝子ノックアウト動物を用いた疾患動物モデルの作成。(5)骨芽細胞、軟骨細胞の分化に関わる発生生物学的研究。(6)破骨細胞の形成ならびに機能調節に関する分子生物学的研究。(7)物理学的環境因子の骨芽細胞機能への影響の細胞生物学的研究。
このページの先頭へ▲

研究活動

骨格系は生体のカルシウム調節系の最大の代謝器官である。骨格系を維持する骨代謝の平衡は、骨組織を形成する骨芽細胞や吸収を行う破骨細胞による骨のリモデリング調節によって保たれている。このリモデリングの平衡が破綻することにより、骨粗鬆症などの骨格系疾患が生じる。骨芽細胞は、未分化間葉系の細胞より分化する過程において局所の調節因子ならびに全身性の調節因子であるホルモンの制御を受ける。これらの因子は、細胞内シグナル伝達機構を介して、核へ情報が伝達され、その下流で活性化される転写因子が細胞分化を決定する。マトリックスが主体の骨では接着シグナルと転写因子のシグナルが相互作用する。さらに、この過程に関わるサイトカインおよび転写因子の機能と調節、ならびにこれらの細胞機能を調節し、局所的に作用する因子の解析を進めている。破骨細胞は、血液の幹細胞由来の前駆細胞から分化するが、その分化過程における細胞間の制御機構、サイトカインなどの局所における調節因子群による分化制御機構、また、細胞内で機能する転写因子の制御機構を研究対象としている。さらに骨の形成ならびに吸収とリモデリングの機構の解明により、骨・軟骨組織の再生医工学の基盤研究を柱としている。上記の問題解明へのアプローチ方法の一つとして、ノックアウトマウスならびにトランスジェニックマウス、ウイルスによる遺伝子導入、網羅的遺伝子発現の解析、ゲノムデータベースの探索を行い、難治疾患の診断法や治療法、さらに再生医学的技術の開発へ向けた基礎研究を行う。
このページの先頭へ▲