概要 研究活動 教育方針
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概要

当分野では、がんや骨疾患の治療に貢献するバイオマテリアル(特にセラミックバイオマテリアル)に関する研究を行っている。具体的には、ゾル-ゲル法などの種々の材料合成手法を用いて、がん治療用材料(特に微粒子)や骨補填材料を合成し、その化学的・物理的・生物学的特性を評価することによって、臨床応用に繋がる知見を得ることを目指す。

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研究活動

1. 低侵襲がん治療用材料に関する研究
β線などの飛程の短い放射線を放射する、直径20~30 μmの微小球を患部に送り込めば、周囲の正常組織を傷めることなく、がんを局部的に直接放射線照射して治療できる可能性があります。また、直径20~30 μmの強磁性微小球を上記と同様に患部に送り込み、患部を交流磁場の下に置くと、同微小球が磁気ヒステリシス損により発熱するので、がんを局所的に加温して治療できる可能性もあります。そこで当分野では、そのようながんの低侵襲治療に有用なセラミック微小球の創製を試みています。

2. 生体活性骨修復用材料に関する研究
セラミックスやガラス等の人工材料の中には、骨欠損部に埋入されると、周囲の骨と自然に結合し、一体化する(生体活性を示す)ものがあります。これらは「生体活性セラミックス」と呼ばれ、重要な骨修復材料として既に実用化されています。しかし、臨床現場では、より骨結合性に優れた骨修復材料が求められています。そこで本研究室では、材料工学に基づいた種々の合成プロセスにより、骨修復に有用な生体活性材料の創製を試みています。

3. 水酸アパタイトの骨伝導機構の解明
水酸アパタイト(HAp)は骨と結合する(骨伝導性を示す)ため、人工骨や医用金属材料のコーティング材料として広く用いられています。しかし、その骨伝導性の発現機構の詳細は未だ明らかでありません。当分野では、血清タンパク質のHApへの初期吸着に注目し、「HApに特異的に吸着する血清タンパク質が骨伝導性を引き起こすのではないか?」との仮説を立て、その検証を進めています。

4. 有機修飾型リン酸八カルシウムに関する研究
 リン酸八カルシウム(OCP)はヒトの硬組織中に存在する水酸アパタイト(HAp)の前駆体と考えられており、硬組織に対して高い親和性を持つことから生体吸収性人工骨の素材として用いられています。OCPは層状の結晶構造を持ち、その層間に様々な有機分子を導入することができます。この性質を利用した機能性骨修復材料や、診断と治療を両立するセラノスティックマテリアルの開発を進めています。

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教育方針

セラミックバイオマテリアルの構造、物理的性質、化学的性質、生体分子や細胞との反応などを総合的・俯瞰的に理解できるようになることを目指す。最終的には、セラミックバイオマテリアルに関する最先端の科学技術を学び、医療に役立つセラミックバイオマテリアルを提案・設計できる能力を得ることを目標とする。
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