職名 |
氏名(カナ) |
研究者情報 |
教授 |
角 勇樹(スミ ユウキ) |
研究者情報 |
准教授 |
赤座 実穂(アカザ ミホ) |
研究者情報 |
助教 |
河原 智樹(カワハラ トモキ) |
研究者情報 |
概要
生体の営みを、分子・細胞レベルから器官レベル、さらには統合されたシステムとしての生体のはたらきを測定・解析する生理機能検査法,臨床医学、人の集団としての公衆衛生について研究、教育を行っている。
正式名称は「東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生命理工医療科学専攻 生命情報応用学分野」です。以前は「生命機能情報解析学」の名称で呼吸、循環、神経の研究、教育を行っていたが、循環器分野が分かれ、2018年保健衛生研究科から医歯学総合研究科に改組する機会に「呼吸器・神経系解析学」と改称した。また2023年度に生体検査学講座全体の組織改革があり、公衆衛生分野も担当することになり「生命情報応用学分野」に改称した。
研究活動
研究はそれぞれ独立して行っており、各自がprincipal investigatorである。元来の専門領域、呼吸器内科、神経内科、小児科をベースに発展させている。角は呼吸器分野では新規肺機能検査の臨床的意義,気管支喘息の機序と endotype分類、肺疾患に対する遺伝子治療、AIを用いた画像診断、臨床診断の研究している。赤座は中枢神経領域では脳波研究、てんかん研究、末梢神経領域では新規末梢神経検査法の開発を行っている。河原は公衆衛生領域の研究を行っている。
教育活動
教育では臨床医学全般の教育を行うと共に臨床生理機能検査(肺機能、脳波、末梢神経検査、各種エコーなど)の講義および実習にて理論および技能を修得させている。卒業研究、大学院学生教育では各専門領域分野研究を行う。角は医学科の教育も行っている。
1) 学部学生教育
1年次には、先端医療技術論の講義を行う。2年次には臨床病態1講義で臨床医学の基礎を教授する。臨床生理検査学1の講義と実習では脳波検査、肺機能検査、心電図検査、エコー検査などの生理検査学基礎の他、新たにタスクシフトで臨床検査技師に求められている検体採取や静脈路を確保など基本的臨床行為の理論と実践を行っている習得。2年次後期、3年次前期の臨床生理検査学2の講義と実習では、さらに高度な神経生理検査、呼吸器系検査、循環器系検査、超音波検査、画像解析、サーモグラフィー、平衡機能検査、眼底検査などの生理機能検査、およびバイタルサインなど基本診察手技、救命救急処置など臨床手技全般の教育を行う。臨床生理検査学1および臨床生理検査学2は疾患生理機能解析学分野と共同で行っており、少人数グループに分かれて各自が異なったスケジュールでクルズスや実習をアクティブラーニング形式で行う。3年次後半と4年次には卒業研究を行う。卒業研究では各自に割り当てられた研究テーマを中心に、研究手法全体について指導を行う。4年次後期に臨地実習の指導を行う。臨地実習では、血液ガス測定を含む呼吸機能検査、脳波検査、誘発電位検査の実技指導を行う。
角は医学科、研修医にも医学教育を行なっている。医学科1年生にはMIC(Medical Introductory Course)講義、2年生には呼吸生理学、3年生には胸部画像診断、4年生には胸部X線診断のための気管支解剖、5年生にはCC(Clinical Clerkship)で呼吸器疾患異常所見のクルズス、研修医にはイブニングセミナー講義を行っている。さらには全学生へのAI教育にも参画している。文部科学省では「AI戦略2019」において、2025年度を目標年度として、1.文理を問わず、全ての大学·高専生が初級レベルの能力を習得すること、2.大学·高専生が、自らの専門分野への応用基礎力を習得することが掲げられた。本学では、医学·歯学分野における数理·DS·AI教育のモデルカリキュラム·教材を開発し、2021年度より本学のカリキュラムに組み込むとともに全国の医学部、歯学部へ普及·展開することを目指しており全学共通科目に「医療とAI·ビッグデータ入門」を新設し、医学科歯学科では必修その他では自由科目として「医療とAI ビッグデータ応用」を開講した。さらに選択科目としてには「AI 実践演習」を開講した。
2) 大学院教育
大学院前期(修士)課程では生体検査科学特論II、呼吸器・神経系解析学演習、呼吸器・神経系解析学実習、呼吸器・神経系解析学課題研究、生命情報応用学演習、生命情報応用学実習、生命情報応用学課題研究を担当する。生体検査科学特論IIでは医療現場において現在行われてる臨床検査について理解を深め、さらに将来へ向けて の研究課題などを考察する力を養うことを目的としている。呼吸器・神経系解析学、生命情報応用学分野の各教科では新しい知識や技術を教育するとともに,すでに解明されている領域とそうでない領域を明確にし,いまだ不明な領域を明らかにするための科学的研究態度の修得をめざしている。
大学院後期(博士)課程では病態推論特論、生命情報応用学演習、生命情報応用学研究実習を担当している。病態推論特論では検査データから病態を推論するトレーニングを行い,病態の理解ができる人材を要請する。生命情報応用学では、研究のための理論と技術の習得を目指します。 特に、研究領域における最先端の医学知識、解析方法論を学びます。
教育方針
教育で重要なのは、学習に対するモティベーションをつけることである。特に学部低学年では基礎学習がどのように役立つのかが解らず、重要であるにも関わらず学習意欲が湧かない学生が多い。そのため実習を多くし、early exposureを行なって臨床現場でどのように必要とされるか理解されるように工夫している。学習することを渇望し、乾いた砂に水が染み込むような教育を目指している。
各論としては生理機能検査は患者と直接接して行う臨床のfront lineであり、特に臨床医学の立場から生理検査について教育している。神経,呼吸,循環、消化器などの臨床生理学的検査、画像診断検査について理論や技術を教え、それらを応用した研究方法を修得させることを目標としている。生理機能検査を行うには、機器の操作、安全対策、生体現象の記録、データの整理・解析の技術と知識のみならず,直接人に接する検査であるので、疾病に対しての医学的知識、医療倫理、コミュニケーション能力なども要求される。また患者に対して緊急処置を要する検査結果について、速やかに認識し適切な処置を行える能力を涵養することも重要視している。これらに加え,検査時の患者の急変への対応についても教育している。
臨床活動および学外活動
呼吸器専門医・指導医、アレルギー専門医、内科専門医の角は当院呼吸器内科外来を行っている。また研究会等の世話人やdiscussantを行っている。次世代の医師養成のため総合研修センターにおける研修医に対するイブニングセミナー講義、M1でのMIC(Medical Introductory Course)講義、呼吸器内科ではCC(M5)、PCC(M4)、呼吸器ブロック講義(M3)、生理学講義(M2)呼吸生理学を担当している。
神経内科医の赤座は、神経内科疾患一般の他、末梢神経障害に精通し、医学部附属病院における末梢神経検査の施行、結果評価の中心的役割を果たしている。
河原は公衆衛生研究データー収集の為、各種調査を行なっている。
精神科医で日本てんかん学会専門医・指導医、日本臨床神経生理学会認定医(脳波)、精神保健指定医の原は日本臨床神経生理学会代議員、日本薬物脳波学会評議員、日本てんかん学会評議員理事会幹事を務めている。当院ではてんかん外来を週1回行い、セカンドオピニオンも含め、多くの患者の診療にあたっている。また当院脳外科と協力し、週1回の脳波カンファレンス、月1回の脳波・てんかんレクチャーを行っている。
臨床上の特色
角は内科学会総合内科専門医、呼吸器学会指導医かつ専門医、アレルギー学会専門医であり、内科全般の患者診察を行っているが、特に気管支喘息を専門にしている。
赤座は末梢神経機能検査の専門家であり、神経内科患者のほとんどの検査を行なっている。また糖尿病患者における末梢神経障害について臨床研究を行っている。
原はセカンドオピニオンも含め、多くのてんかん患者の診療にあたっている。特に妊よう性のある女性の治療を専門とし、多くのてんかん治療を受けた女性の妊娠出産を助けている。平成25年からは産婦人科医師と協力し、てんかん合併妊娠に関する事前コンサルタントを行っている。