概要 研究活動 教育活動 教育方針
ホームページ http://www.tmd.ac.jp/grad/fana/

スタッフ

職名 氏名(カナ) 研究者情報
教授 秋田 恵一(アキタ ケイイチ)
教授 二村 昭元(ニムラ アキモト)
准教授 原田 理代(ハラダ マサヨ)
講師 室生 暁(ムロウ サトル)
助教 井原 拓哉(イバラ タクヤ)
大学院生 細野 周作(ホソノ シュウサク)
大学院生 馬上 頌子(モウエ ショウコ)
大学院生 LIU TONG(リュウ トウ)
大学院生 DJAMEH GEORGINA BELLA ADWOA(ジャメ ジョージナ ベラ アドウォア)
技術職員 山本 凜太郎(ヤマモト リンタロウ)
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概要

 当分野は,手術や画像診断等の解剖学的発生学的基盤の形成を通じて臨床医学のサポートを行っています.人体解剖学の教育は全身をあつかうものであるため,領域による扱いの差というものはありません.よって研究においても,全身すべてを対象としております.手術法や技術ということに左右されることなく,古典的ではありますが,人体をありのままに観察することによって見えてくる形態を表現し,示説するということが重要だと考えています.それらの観察結果を臨床医が利用しやすい形に表現することにより,解剖学的な基盤つまりは共通言語のようなものを作り出すことを目指しています.さらには,それらの形態がどのようにして形成されたのかということを考えることも重要だと考えており,実験発生や発生生物学的手法を用いた解析も行っています.
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研究活動

 筋や靱帯といった運動器の設計図と末梢神経系ならびに脈管系といった人体に張りめぐらされた複雑な配線図を完成させるべく研究を行い,主として「神経支配による筋の形態学的研究」および「自律神経系を中心とした臨床解剖学的研究」をテーマとして取り組んで来た.
 この中で重要視しているのは,臨床的問題点へのアプローチのための解剖学的基盤の形成ということである.臨床的問題点解決のための1つの基盤として,臨床解剖学的研究が求められている.通常,臨床解剖学はClinical Anatomyの訳であるが,これを我々はClinically oriented anatomyととらえている.解剖学的研究として人体構造の理解という観点としても重要であるが,臨床応用を目指すという点で今後発展させていく必要があると考えている.
 代表的な研究テーマを以下にあげる.

1.関節およびその周囲筋の形態学的解析
 関節鏡視下手術が一般的になるにつれ,関節周囲の詳細な解剖が求められるようになってきた.これに応じて,従来の解剖学的な常識を疑い,手術解剖ならびに機能解剖のためのデータ収集ならびに解析を始めた.これまでの教科書的な記述の多くに先入観による誤記や不十分な調査に基づく誤りがあることがわかってきた.今後,臨床応用できるような情報として整形外科医と共同研究を進めている.

2.総排泄腔の分化と骨盤出口筋の発生の解析
 マウス胚を用いて,総排泄腔が分化し,尿生殖洞ならびに肛門の発生過程を詳細に解析するとともに,骨盤内臓の形成過程に見られるapoptosisの分布を三次元的に解析し,その変化についても解析を行ってきた.また,それらの周囲に発生する筋ならびに神経を追っている.

3.肛門領域の臨床解剖学的研究
 肛門管の構造ならびに構成する平滑筋ならびに骨格筋の配置についての解析を行い, 肛門領域の外科臨床のために貢献することをめざす.

4.婦人科癌手術における術式開発のための臨床解剖学的基盤
 広汎子宮全摘術における神経温存術式開発についての解剖学的基盤を形成するため,骨盤内自律神経の分布についてのデータの収集,解析を行っている.

5.咀嚼筋の神経支配に基づく層構造の解析
 咀嚼にかかわる筋群の神経支配を精査することにより,各筋が完全に独立したものでなく,それぞれが移行的な部分をもちながら連続した形態であることがわかってきた.我々は,これらの連続的な形態や筋の層構造の解析および支配神経の分枝パターンについての解析を行ない,咀嚼システムの成り立ちについて検討を行なっている.
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教育活動

 医学部医学科の医学導入(1学年)のPBL,人体構造総論(2学年),人体解剖学(2学年),呼吸器ブロック(3学年),消化器ブロック(3学年),プロジェクトセメスター(4学年),臨床導入実習(4学年)を担当する.医学科及び歯学科の頭頸部基礎(2学年),歯学科の頭頸部臨床解剖学(5学年)も担当する.
 複雑な人体構造の立体的配置を様々な角度から理解することと医師・研究者として必要となる観察眼を養成することを目標としている.また,問題解決型学習(PBL:Problem-Based Learning)の運営を担当し,自主的な学習と討論,プレゼンテーションを促している.
 人体構造総論では人体の成り立ち,とくに系統発生に重点を置き,人体の構造・配置を考える基礎を作る.また,比較解剖学的な見地から,脊椎動物の一般のbasic body planにも焦点をあてる.人体発生学は,個体発生の視点から各器官の発生およびその立体配置完成のプロセスについて理解する.
 解剖学講義では神経,血管などの体内配線図を中心に,諸構造の相互位置関係を血管・神経とのつながりを通じて理解することに重点を置いている.このためには,解剖学実習を通じて,剖出-観察-所見の記録-討論という過程を反復することが望ましいと考え, WebClassを用いて試みている.実習の効果を高めるには事前の講義が重要である.学習を有機的に結びつけるため,講義・実習の中に臨床医学的要素も取り入れている.
 臨床実習を開始した高学年の学生に対しては,具体的な診断・治療を理解するうえで必要になる臨床解剖学的な講義をグループ討論形式でおこなっている.
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教育方針

 記述解剖学,記述発生学から導かれた形態形成の理論や仮説は,実験発生学によって確かめられ修正が加えられてきました.さらに発生生物学の発展によって,形態形成にかかわる遺伝子やシグナル等が同定され,仮説を現実のものとして確かめられたり,モデルに修正が加えられるようになってきました.しかしこれらの議論の対象となっているモデルにおいて前提となるのは,あくまでも解剖学が完成した揺るぎのないものであるということであります.現実に解剖をし,検討をしていくと,決して解剖学が完結したものではなく,まだまだあいまいなままにされているということがわかってきます.解剖学とくに肉眼解剖学のように,手技としては非常に古典的なものを用いるものでは,すべてやりつくされ,新しいものなどないように思えるのですが,臨床上で必要とされなかったために検討が十分になされなかった部分も多く見られるのです.
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