概要 研究活動 教育活動 教育方針 臨床活動および学外活動 臨床上の特色
ホームページ http://www.tmd.ac.jp/med/mlab/mlab-J.html

スタッフ

職名 氏名(カナ) 研究者情報
教授 東田 修二(トウダ シュウジ)
講師 伊藤 真以(イトウ マイ)
講師 叶内 匡(カノウチ タダシ)
助教 野上 彩子(ノガミ アヤコ)
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概要

 臨床検査医学は、臨床検査を応用した病態の解析、新しい臨床検査法の開発と応用、あるいは臨床検査を中心にした診断支援システムの構築などを行う学問である。臨床検査は、現代医療の実践において不可欠の手段となっており、その有用性をさらに高めると同時に、絶えず改良して新たな手法を開発していくことが臨床検査医学に課せられた使命である。当分野では、白血病を始めとする悪性腫瘍の分子病態解析、DNA診断を用いた感染症や悪性腫瘍の新しい臨床検査法の開発の研究に取り組んでいる。
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研究活動

 研究では、臨床検査医学を応用した各種疾患の病態解析、新たな臨床検査法の開発と応用が主なテーマである。以下に現在行っている研究プロジェクトを紹介する。

1)白血病細胞の増殖機序の特性の検査法とそれに対する分子標的治療薬の感受性検査法の開発
白血病は、白血病細胞の無制限の増殖と正常造血機構の障害により、そフ病態が形成される。白血病細胞の増殖は、その細胞集団の中のごく少数の白血病幹細胞によって維持されている。私たちは、白血病の細胞増殖のメカニズムを細胞・分子レベルで明らかにすることにより、患者さんごとの白血病細胞の特徴を明らかにする検査法と、それに応じた治療法とを開発することを目指している。われわれは、白血病幹細胞の増殖機構をサイトカインの作用という観点から研究を続けてきた。具体的には、サイトカインの白血病細胞培養系における自己複製能や分化増殖能への作用、白血病細胞に発現するサイトカインやサイトカイン受容体の解析、サイトカイン受容体のシグナル伝達系の解析などである。現在は造血幹細胞の自己複製に重要な役割を持つNotchシグナルの、白血病細胞の増殖における役割に焦点を当てて研究している。Notchとは、造血幹細胞表面に発現している蛋白である。われわれは世界に先駆けて、患者白血病細胞にNotch蛋白やNotchリガンド蛋白が発現していることを報告し、Notchリガンド反応性のヒト細胞株を樹立した。さらに当研究室の大学院生らが、白血病細胞の増殖や分化に対するNotchリガンド蛋白やNotch阻害薬の作用やその分子機序に関する興味深い発見をし、報告してきた。Notchシグナルの制御は、再生医療や白血病に対する分子標的治療への応用が期待されており、臨床応用に向けて、国内研究機関や企業研究部門との共同研究も進めている。最近は、Notchシグナルと同様に幹細胞の制御に重要なWntシグナル、mTORシグナル、HIFシグナル、Sirtuinシグナルなどについても研究している。

2)腫瘍の新たな遺伝子検査法や微量残存腫瘍細胞の検出法の開発
 癌治療の目標は、腫瘍細胞を根絶し患者を治癒に導くことにある。種々の有効な治療の後にも、微量腫瘍細胞の残存や再発の問題が残されている。この微量腫瘍細胞の検出は、追加治療の必要性の判断や、再発の早期発見に有用である。われわれは遺伝子検査を用いて、微量腫瘍細胞を適格に検出する検査法の開発に取り組んでいる。

3)悪性リンパ腫細胞の増殖機構の解析
 当研究室で樹立したび漫性大細胞型B細胞リンパ腫由来細胞株を用いて、B細胞受容体からNF-κBに至る増殖シグナルの機序、シグナル抑制薬の効果、抑制薬の薬剤感受性検査の研究を行っている。

4)感染症の遺伝子検査の開発
 真菌· ウイルス· 原虫など従来の検査法では検出が難しい病原体の核酸検査による検出法や、細菌の院内感染伝播の監視のための細菌の遺伝子型解析の研究を行なっている。

5)骨髄不全症における標的オトリ人工抗体開発に向けたネオエピトープ反応性T 細胞の検出
 血液内科学分野の協力のもと、上記の開発に取り組んでいる。

6)筋萎縮性側索硬化症の臨床· 神経生理学的研究、末梢神経障害の新しい電気生理学的診断· 評価法
 病院検査部の神経生理検査室や脳神経内科の協力のもと、上記の研究と開発に取り組んでいる。
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教育活動

 大学院博士課程学生に対して、白血病細胞の増殖機序の分子生物学的解析と、それを応用した診断法や病態解析の検査法の開発の研究を指導している。修士課程学生に対しては、医歯学概論の臨床検査医学の講義を通して、臨床検査の意義とその実際について概説し、特に遺伝子検査について実例を示して解説している。また、修士課程の病院検査部実習も分担している。
 医学部医学科学生に対しては、系統講義(臨床医学導入ブロック)、臨床検体を用いての細菌検査実習、プレクリニカルクラークシップでのシミュレーターを用いての採血手技の指導などを通して、血液検査、感染症検査など臨床検査の目的・原理・方法・手技・解釈を教授している。これらにより、医師として臨床検査を活用できる知識と能力を養うことを目標としている。また、プロジェクトセメスターとして、医学科4年の学生を受け入れ、研究活動の指導を行っている。
 保健衛生学科学生に対しては、血液検査学講義と病院検査部臨地実習(血液検査、細菌検査)を分担している。
 大学病院の研修医に対しては、検査部をローテートする研修医に検査の実技や解釈の仕方を指導している。
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教育方針

 臨床検査医学の大学院教育の目的は、疾患の病態生理の解析法、新たな検査法や診断支援システムを開発する能力を養うことにある。当分野では、特に血液腫瘍の病態解析法、癌や感染症の遺伝子検査法の開発に重点を置いている。
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臨床活動および学外活動

 大学病院において、検査部スタッフとともに、血液学的検査、生化学検査、免疫学的検査、細菌検査などの検査業務を行っている。また、検査関連学会などを通じて、臨床検査に関する研修会やセミナーで講演を行っている。
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臨床上の特色

 臨床各科との協力のもとに、臨床検査の解釈、精度管理、新しい検査法の開発などを行っている。また、臨床検査に関わる各診療科からの問い合わせや相談に応じ、診療支援を行っている。
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