研究活動 教育活動 教育方針
ホームページ http://www.tmd.ac.jp/mbc/index.html

スタッフ

職名 氏名(カナ) 研究者情報
教授 畑 裕(ハタ ユタカ)
助教 松崎 京子(マツザキ キョウコ)
大学院生 KULEAPE JOSHUA AGBEMEFA(クリャペ ジョシュア アベメファ)
このページの先頭へ▲

研究活動

(1) 細胞死・増殖・分化を制御するヒッポ・パスウエイの解析
ヒッポ・パスウエイは蛋白リン酸化酵素を中核とするシグナル伝達系で、転写共役因子YAP1とTAZの活性を負に制御して、過剰な細胞増殖を抑制し、DNA損傷時には細胞周期を止めてDNA修復を促進しゲノム安定性に寄与する。すなわち、ヒッポ・パスウエイは腫瘍抑制シグナルとして働く。ヒトがんでは、ヒッポ・パスウエイがしばしば機能不全に陥り、YAP1、TAZが暴走する結果、がんが悪性化し予後不良の原因になる。そのため、ヒッポ・パスウエイが機能不全に陥っているヒトがんでは、YAP1、TAZ阻害剤が新しいがん治療薬として効果を発揮すると期待されている。一方で、YAP1、TAZは組織幹細胞の機能調節に重要な役割を果たすので、成体の組織恒常性維持、組織損傷時の修復にはYAP1、TAZの活性が求められる。したがって再生医療の観点からはYAP1、TAZ活性化剤が注目される。私たちは、YAP1、TAZを阻害あるいは活性化する低分子化合物を探索し、その標的分子の解析を通じて、YAP1、TAZの新しい制御機構を解明しようとしている。また、獲得された化合物を研究試薬として使用することにより、生理的な条件下でYAP1、TAZが果たす役割を明らかにしようとしている。

(2) 腫瘍抑制分子RASSF蛋白が果たす細胞生理的、病態生理的機能の解析
Ras結合領域をもちRASSFと総称される遺伝子がヒトには10個ある。そのうちRASSF1からRASSF6の6個は、ヒッポ・パスウエイと関連が深く、ヒッポ・パスウエイを介して、あるいは、ヒッポ・パスウエイと協働して、腫瘍抑制的な働きを示す。RASSFも、ヒッポ・パスウエイと同じく、ヒトがんでしばしば発現が抑制されて、その機能低下はがんの悪性化と相関するので、臨床的にも重要である。私たちはRASSFが腫瘍を抑制する仕組みを解明し、RASSFが正常に機能しないがんでRASSFの機能を補完する方法を開発したいと考えている。

(3) 慢性炎症が発がんを起こす分子機構の解析
慢性炎症が発がんの母地になることはよく知られている。私たちは、慢性炎症時に発現が高まる遺伝子の中からDNA損傷修復を阻害しゲノム不安定性を引き起こす分子を選び出して解析を行っている。慢性炎症を背景とするがんの対策の第一は、慢性炎症を予防することだが、慢性炎症時にゲノム不安定性が起こる分子機構を明らかにできれば、一度、慢性炎症が起こってしまった後にも、発がんを防ぐ方法が開発できると考えている。

(4) 筋萎縮治療薬の開発
加齢による筋萎縮は高齢者の活動性を奪い、転倒骨折の原因になり、高齢者が自立歩行できない状態を作りだす。加えて、骨格筋は人体最大の代謝臓器であるため、糖代謝や脂質代謝に大きな影響を与え、様々な病態に関わる。筋萎縮による活動制限は、認知機能を低下させ、抑うつ状態を招き、骨そしょう症も助長する。このような理由から、加齢性筋萎縮は、高齢者が要介護の状態に陥る原因の多くの部分を占めている。急速な少子高齢化が進行している日本では、加齢性筋萎縮を防ぎ。高齢者の活動性を維持することが重要な課題になっている。対策の第一選択は、適切な栄養摂取と運動による予防にあるが、筋量と筋力を増加させる薬剤の開発も待たれている。成体の骨格筋はサテライト細胞と呼ばれる組織幹細胞によって維持される。ヒッポ・パスウエイによって制御される転写共役因子TAZは骨格筋形成を制御する転写因子MyoDと共役して骨格筋形成を増強する。この事実に着目して、私たちは、上述のヒッポ・パスウエイ研究から獲得されたTAZ活性化剤を出発点として筋萎縮治療薬の開発に取り組んでいる。

(5) 老化促進モデル動物の作製
老化は生理的現象であるが、著しい個人差がある。早くに老化する人もいれば、90歳を超えても元気に活動する人もいる。老化をいかに遅らせるかは、21世紀の医学研究の大きな課題である。私たちは、新しく開発した筋萎縮治療薬が加齢性筋萎縮の治療に有効であるかを検証するため、老化マウスを使う必要に迫られている。通常のマウスでは老化に2年以上を要し、加齢が促進されるSAMマウスでもある程度の時間が必要とされる。そこで、ヒト早老症をモデルとして老化促進マウスの作製を試みている。期待通りにマウスが獲得されたならば、筋萎縮治療薬の評価に使用するのみならず、環境要因がいかに老化の加速、遅延を左右するかを明らかにする目的でも使用したいと考えている。

(6) 線虫による健康寿命の研究
線虫は遺伝子操作が容易で、しかも寿命が短いため、生命寿命の長短を決定する遺伝子の解析に使われてきた。その成果は哺乳動物の生命寿命の理解に役立つ知見をもたらしている。しかるに線虫もヒトと同様に加齢に伴い筋運動の低下や食事摂取の減少が認められる。すなわち、線虫においても健康寿命を評価することができる。私たちは、線虫を使って健康寿命に影響する遺伝子、環境要因を解析する試みに着手している
このページの先頭へ▲

教育活動

1:学部教育 
生化学系統講義・実習を担当した。
2:大学院教育 
修士課程「生化学」の科目責任を担当した。
3:その他
次世代がん治療専門推進家養成コースで、癌細胞に特徴的な代謝変化について講義を行った。
東京外国語大学で講義「ヒトはなぜ生きられるのか」を行った。
このページの先頭へ▲

教育方針

1)医学科学生
生化学の講義を通じて、ヒトの体を構成する成分の代謝とエネルギーバランスの維持と破綻についての全盤的な知識を与え、ヒト疾病の病態と、それに対する治療法の合理性を理解できるようにする。
2)修士課程学生
研究活動に参加させることを通じて、生命科学研究への志向性を涵養すると同時に、研究職のキャリアにつかない場合でも有用となる思考能力、コミュニケーションスキル、社会性を育成する。
3)博士課程学生
自立した研究者としてのスタートラインに立つに十分な資質を育成すると同時に、博士号取得後、然るべきキャリアを辿るに足る十分な実績を積ませる。
このページの先頭へ▲