概要 研究活動 教育活動 教育方針 臨床活動および学外活動 臨床上の特色
ホームページ https://www.tmd.ac.jp/ort1/

スタッフ

職名 氏名(カナ) 研究者情報
教授 小野 卓史(オノ タカシ)
講師 細道 純(ホソミチ ジユン)
講師 松本 芳郎(マツモト ヨシロウ)
助教 石田 宝義(イシダ タカヨシ)
助教 石田 雄之(イシダ ユウジ)
大学院生 DONG THI KIM UYEN(ドン ティ キム ウィエン)
大学院生 CHO EDWARD(チョウ エドワード)
大学院生 SHAMS SHAHRIAR MOHD(シャムス シャハリアル モハド)
大学院生 GUNARSO ANINDYA KAMARATIH(グナルソ アニンディア カマラティ)
医員(歯病) 大森 浩子(オオモリ ヒロコ)
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概要

咬合機能矯正学は、歯科矯正学はもとより、関連臨床分野との連携に基づき、顎顔面頭蓋と全身の諸構造とが均衡のとれた状態で咬合機能を発育させ、また病態もしくはそれに移行する咬合状態を矯正し、さらに増齢に伴う最適な機能を獲得維持させるような制御の機構の解明と医療技術の開発を追求する臨床歯学の一分野である。
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研究活動

本分野では、主に以下のテーマを研究対象としている。

1) 咬合機能に関する生力学的研究
 不正咬合の客観的評価方法の確立や正常咬合の生物学的意義とその科学的根拠の解明を目的として、主に計算力学的手法を適用した生力学的検討を推し進めている。その結果、咬合することによりかかるエネルギーを指標とした咬合状態の定量的評価法、および流体力学的手法により咀嚼時の食塊の流れからみた咀嚼機能評価法を確立した。また、咀嚼時における下顎第一大臼歯の変位の食塊破壊に対する意義を検討した。さらに、実際に摂取される食品の物理的性状を測定し、これに併せて不正咬合患者に対して食品摂取アンケートを実施することにより、咀嚼機能を客観的および主観的の両面から評価している。くわえて、下顎側方偏位症例の顎関節症状について臨床的調査を行い、その発症メカニズムについて、上下顎骨・歯列・顎関節構造からなる稠密なシミュレーションモデルを構築することにより、生力学的に検証している。

2) 矯正力・咬合力に対する生物学的反応と機能的適応に関する研究
 矯正力・咬合力に対する生物学的反応ならびに機能的適応を明らかにすることを目的として、形態学的、酵素・免疫組織化学的、分子生物学的ならびに電気生理学的解析を進めている。その結果、咬合機能低下による歯根膜における機械受容器、血管、細胞外マトリックス、一酸化窒素、神経ペプチドの変化や歯槽骨の変化を明らかにした。さらに、機能回復による影響も明らかにした。歯の移動に関して、矯正力の大きさ、作用様式・時間の違いや咬合力の影響、さらにオステオポンチン、Cbfa1、レプチン、PTH、インスリンの関与を解明した。また、機械的刺激の大きさや時間の違いによる歯根膜細胞および骨系細胞の反応や各種遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにした。

3) 歯の自家移植の術式の開発と矯正臨床への応用
 成功率の高い根完成歯の自家移植の術式の開発を目的として、組織化学的、分子生物学的手法を用い、移植歯歯根膜の治癒のメカニズムについて検討してきた。その結果、適切な時期に与えられる咬合刺激が歯根膜細胞の増殖活性を高め、さらには、一酸化窒素や神経ペプチドを介しての移植歯の歯根吸収や骨性癒着が抑制されることを明らかにした。また、移植前における移植歯への矯正力の負荷と移植後の歯根膜治癒との関連性についても明らかにした。

4) 不正咬合と顎関節に関する研究
 不正咬合と顎関節との関連を解明することを目的として、酵素・免疫組織化学的、生力学的、電気生理学的解析を進めている。下顎骨偏位や咬筋切除による咬合力低下が、顎関節の形態ならびに機能変化を引き起こすことを明らかにした。また、それらの咬合状態の変化に対する顎関節受容器や咀嚼筋筋紡錘の適応についても見出してきた。さらに、歯根膜機械受容器から咀嚼筋、頚部筋群への反射機構について明らかにした。
 くわえて、多因子性疾患である顎関節症発症のメカニズムを解明することを目的として、分子生物学的手法を用い、エストロゲンやその他の因子と滑膜炎症との関連性について明らかにした。

5) 咬合の変化および増齢に伴う歯・頭蓋顎顔面の形態と機能の変化に関する研究
 成長発育を含めた歯・頭蓋顎顔面の形態と機能の増齢変化を解明することを目的として、免疫組織化学的、分子生物学的手法、電気生理学的手法を用い、歯根膜機械受容器の応答性や歯肉血管網の増齢変化を解明してきた。一方、生理学的手法を用いて、非作業側の側頭筋活動に対する作業側臼歯部歯根膜機械受容器の役割、小臼歯部の咬合状態と咬合力との関連を明らかにしてきた。また、開咬症例における歯の動揺度や咀嚼筋筋活動の変化を検討している。動物においては、咬合高径を変化させたときの閉口筋筋紡錘応答特性の変化や、下顎を側方偏位させたときの、左右顎関節機械受容器の応答特性の変化を検討している。さらに、機械受容器の成長発育についての検討も行っている。

6) 頭蓋顎顔面と全身との関連に関する研究
 頭蓋顎顔面の形態ならびに機能の形成・維持と全身の形態ならびに機能との関連性を解明することを目的として、下顎骨偏位患者や外科的矯正治療患者における治療前後の体重心動揺様相の変化、咬みしめ時の胸鎖乳突筋にみられる筋疲労、咀嚼時の下顎運動に伴う頭頚部の能動的運動の存在、歯根膜機械受容器および顎関節機械受容器の入力による頚部モーターユニットの活動を明らかにしてきた。また、咀嚼時の下顎運動に伴う頭部運動と食品性状との関連の解析、下顎運動時における頭頚部有限要素モデルの作製とその動解析も行っている。

7) 歯科材料学の矯正臨床への応用
 より安全で効率のよい矯正歯科治療の術式を開発することを目的として、超弾性型チタンニッケル合金ワイヤーの改良およびその臨床応用、それらの生物学的、生力学的背景について検討してきた。また、コイルスプリングの改良、チタンニッケル合金と異種合金との接合法開発および臨床応用、中空型の超弾性型チタンニッケル合金ワイヤーの開発および臨床応用を行ってきた。さらに、チタンニッケル合金角型ワイヤーの振動減衰能に着目した材料力学的、生物学的ならびに生力学的検討、矯正用接着材および前処理方法の改良も進めている。

8) 睡眠呼吸障害の病態生理学的研究
 睡眠呼吸障害と頭蓋顎顔面の形態ならびに機能との関連を解明することを目的として、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠呼吸障害を呈する小児および成人矯正治療患者における矯正治療前後における睡眠状態と睡眠中の呼吸機能ならびに身体機能の変化について明らかにしてきた。また、成長期の睡眠呼吸障害における慢性的間欠的低酸素血症と頭蓋顎顔面の成長遅延および生理機能の障害との関連について解明することを目的に、睡眠呼吸障害の病態モデル動物をもとに、骨形態計測学的、組織学的および分子生物学的手法を用い、疾患の分子病態の解析を進めている。


9)呼吸機能の頭蓋顎顔面および全身との関連に関する研究
 頭蓋顎顔面さらには全身の形態ならび機能の形成・維持と呼吸機能との関連性を解明することを目的として、成長期不正咬合患者や外科的矯正治療患者における治療前後の顎顔面形態と呼吸機能、身体機能の変化について、生理学的に明らかにしてきた。また、成長発育を含めた頭蓋顎顔面の増齢変化への呼吸機能の関与を生物学的観点から解明することを目的に、病態モデル動物をもとに、免疫組織化学的、分子生物学的手法、電気生理学的手法を用い、解析を進めている。

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教育活動

担当科目:
咬合機能矯正学、不正咬合病態学、機能適応生物学
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教育方針

顎顔面頭蓋と全身の諸構造とが均衡のとれた状態で咬合機能を発育させ、また病態もしくはそれに移行する咬合状態を矯正し、さらに増齢に伴う最適な機能を獲得維持させるような制御の機構と方法を下記の項目に分けて教授する。

咬合機能矯正学
1) 不正に陥っている咬合系の生理学的機構を病態学的に解説し、矯正歯科治療に関する科学的根拠の理解を深める。
2) 咬合力や矯正力等の外力に対する咬合系の反応性と適応性について、また、増齢に伴うそれらの変化についても解説し、生物現象への関心を高める。
3) 矯正歯科治療を主とする咬合系の形態や機能を制御する術式について、生力学的ならびに材料学的に解説し、術式開発への意識向上を図る。
4) 矯正歯科治療に対する歯科医師が考える必要度と、一般人が考える要求度について解説し、社会歯科学の認識を高める。

不正咬合病態学
 咬合に関与する機能と形態の変異を増齢に伴って把握し、不正咬合の位置づけとその病態としての客観的な認識について、生理学、生力学、生物学および社会学の見地から教育を行う。

機能適応生物学
 咬合を中心とした環境的な制御を目的として、矯正刺激を付与した際に惹起される、増齢要素を含めた生物学的な応答過程を、一次的な反応性と二次的な適応性とから、その機構について教育を行う。
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臨床活動および学外活動

臨床活動
 本分野では、材料および治療技術を開発することにより、常に世界に先駆けて矯正歯科治療技術の二大転換期をリードしてきた。すなわち、矯正用ブラケットを歯に直接つける接着方法を開発することによる、古くから用いられてきた矯正用バンドを用いない治療システムを展開してきた。またステンレススチールなどの剛性の高いワイヤーを用いる治療から、超弾性型のチタンニッケル合金ワイヤー、さらには近年開発した改良超弾性型チタンニッケル合金角型ワイヤーを用いることにより、弱い持続的な矯正力で効率よく安全に行う画期的な治療技術を発展させてきた。その結果、矯正歯科治療単独では限界と考えられていた数多くの難症例に対しても良好な臨床成績を収めている。一方、不正咬合の病態生理を解明することにより、矯正歯科治療の必要性を裏付ける科学的根拠を明らかにし、さらには研究結果をいち早く臨床にフィードバックさせることにより、新たな術式開発を目指している。
 大学院生には、基礎研究の他に卒後臨床教育カリキュラムに則って、歯科矯正学の高度な専門知識と診療態度および技能を習得させ、論理的思考力を研鑽していくことにより、臨床研究者となる次世代のリーダーを育成している。大学院卒業後もグループ診療体制により、多角的な視点から診療を行っている。
 
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臨床上の特色

本分野の臨床活動は、主に以下の臨床上の特色をもつ。

1) 改良超弾性型チタンニッケル合金ワイヤーを用いた矯正歯科治療
 本分野で自主開発した、衝撃吸収能、振動減衰特性、耐摩耗性の特性を持つ改良超弾性型チタンニッケル合金ワイヤーを用いて、弱い持続的な矯正力で効率よく安全に行う画期的な矯正歯科治療を提供する。

2) 関連分野との連携による包括的歯科診療
 唇顎口蓋裂やその他の先天性疾患、顎変形症、顎機能異常、歯周疾患等を有する症例や、埋伏歯、欠損歯を伴う症例に対する歯の移植、さらには矯正治療用のインプラント固定源等において、関連分野との連携により包括的歯科治療を提供する。

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