概要 研究活動 教育活動 臨床活動および学外活動

概要

 本分野は大学院医歯学総合研究科口腔機能再建学講座に所属し、歯学部附属病院では臨床検査および病理診断の診療業務を担当しているが、2012年4月から内容を一新した。口腔病理学分野が基礎医学に立脚した研究・教育を本務とするのに対し、口腔病態診断科学分野はより臨床的な人体病理学を目指し、臨床医学としての病理診断科学の実践とその発展を図るものである。本学における病理関連部門(口腔病理学分野、診断病理学分野、人体病理学分野、包括病理学分野、神経病理学分野、分子病態検査学分野)との連携の基に、全身の一般病理診断を基盤とした真の口腔病理医育成の場として国内に広く門戸を開くと共に、口腔疾患の病態理解を通じて、研究遂行能力を有する優れた臨床歯科医師育成の役割を果たしている。
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研究活動

 本分野は以下のテーマを主要研究課題としている。
1.口腔癌の外科病理学的研究
 口腔癌を扱ういろいろな立場の人が、共通の認識を持って診断・治療・研究を進めるためには、基本的な考え方や具体的な取扱いの標準化が必要である。個々の症例から臨床医学に有用な外科病理学的情報を集積し、診断・治療・研究の共通の基盤となる口腔癌の病態検索を行う。
2.新たな分子病理学的診断法の検討
 伝統的な病理組織学的診断の基準や質の継続性を維持しつつ、遺伝子診断等に基づくこれからの個別化医療にも対応できる病理診断システムを、他の臨床各科や基礎分野の協力も得て検討していく。
3.口腔疾患の診断科学
 本学の豊富で貴重な症例をもとに口腔病理診断学の体系を再構築すると同時に、院内感染症、免疫不全症に続発する感染症、多剤耐性菌感染症など様々な病態を示す感染症の臨床細菌学的研究や、病態生化学的検査を基にした疾患の鑑別、診断などについて臨床病理学的研究を進める。
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教育活動

 教育に関しては、歯学科学生に対する病理学、口腔病理学の講義・実習、口腔保健学科学生に対する臨床検査学の講義・実習を担当し、臨床医学、口腔科学に必要な病理学あるいは臨床病理学的知識の理解、習得を図っている。
また、大学院生およびポスドクの病理専門医研修医に対しては、外科病理学の講義、病理診断や口腔疾患病態の研究指導を通して、優れた口腔病理医の育成を期するものである。これからの口腔病理を担う若手育成のためには、既知の部分から未知の領域へと小さな歩みを積み重ねていく、普遍的な人体病理の基本を教育する。
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臨床活動および学外活動

 歯学部附属病院検査部として病理診断業務および臨床検査業務を担っている。病理診断は、生検、手術検体、迅速診、細胞診等の検体からなるが、外部診療施設からの病理診断依頼検体も受け付けている。2015年から医病歯病連携の一貫として、医病病理部において共同で病理診断業務を行っている。顎口腔領域に発生する腫瘍性病変は歯原性腫瘍をはじめ、他の臓器に発生する腫瘍とは異なるものも多いが、本院におけるこれらの病変の症例数は本邦歯大、歯学部中で最多である。臨床検査は、血液検査部門、細菌検査部門、生化学検査部門、生理(心電図、呼吸機能)部門、病理検査部門からなり、中央施設として採血業務、輸血検査・自己血貯血業務も担っている。2015年1月から12月末までの各部門検査件数を以下に示す。
  血液検査部門           13,819 (項目数)
  細菌検査部門            7,020 (項目数)
  生化学検査部門          187,360 (項目数)
  生理(心電図, 呼吸機能)部門    2,602 (患者数)
  採血・輸血部門
   採血               5,044 (患者数)
   輸血前検査            3,015 (項目数)
   自己血貯血             91 (患者数)
   交差適合試験            98 (患者数)
  病理検査部門(生検、手術例)    3,158 (検体数)
  外部診療施設からの病理診断依頼    208 (件)
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